【介助の心得】手を差し伸べられるあなたに

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【介助の心得】手を差し伸べられるあなたに

災害時に必要な介助とは? 山本佳代子(介助専門士)

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東日本大震災では、障害者の死亡率は、全体の死亡率と比較すると約二倍でした。障害をもつ方の生死を分けたものはなんだったのでしょうか。

聴覚、視覚、知的、精神、肢体、内部、発達障害……、死亡率が一番高かったのは、自力では逃げられない車椅子利用者でした。二番目は聴覚障害者で、津波警報が聞こえず避難できなかったのです。ある聴覚障害者は、近所の人が来て「津波! 逃げろ!」と言って引っ張ってくれ、助かったそうです。

大きな災害が発生したとき、テレビをつける人が多いと思いますが、東日本大震災のとき即座に字幕放送を行なったのはNHKだけで、その字幕放送も22時に終了。民放では唯一、日本テレビが夕方から字幕放送を開始し、翌日まで継続しました。それがなければ、聴覚障害の方がたは十分な情報が得られず、さらに不安な夜を過ごしたかもしれません。

高齢者も多い日本、避難したくても出来なかった理由に「自力での歩行が困難だった」「避難場所まで遠くて行けなかった」「寝たきりの配偶者がいて、抱えて逃げられなかった」などがありました。

今後も、大規模な災害が起きる可能性があります。障害者を含むあらゆる人の命を守る防災を、私たちは日頃から意識して共助(互いに支え合う)することが大切だと思うのです。

東日本大震災が起きる前までは、ご近所に障害のある方がどれだけいて、どこに住んでいるのか、災害時に支援を必要とする方がどれだけいるのかなどの情報の把握は義務付けられていませんでした。その反省もふまえ、2013年に、障害者や高齢者など避難に支援が必要な人の名簿作成が各自治体に義務付けられました。近所同士、障害をもつ方からも、自分の存在を互いに知らせつつ、コミュニケーションを図るように努め、「助けて」「助けるよ」と、声をかけ合える地域社会になればいいなと思います。


山本佳代子(やまもと・かよこ)
NPO法人日本介助専門員推進協会会長。
2005年、日本介助専門員推進協会設立。企業を中心に、介助士養成のための研究活動を行っている。介助専門士グランドマスター。ユニバーサルケアアドバイザー。トヨタ名古屋自動車大学校特任講師。(社)全国手話通訳問題研究会会員。

『やくしん』2017年9月号 (佼成出版社)


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