露の団姫の「毎日が仏教ですねん」

上方落語の高座をはじめ、テレビ・ラジオなど多方面で活躍中の露の団姫(つゆの・まるこ)さん。プロの噺家、天台宗僧侶、そして一児の母という三つの生き方を自在に歩んでいます。「法華経は、わが人生の道しるべ」――日々の暮らしの出来事を教えに照らし合わせることで、仏教が身近なものに感じられるコミカル・エッセイ。

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露の団姫の「毎日が仏教ですねん」

もともと仏教用語だった「旦那」 露の団姫(つゆのまるこ)(落語家・僧侶)

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先日、父の日に開催された立正佼成会四国支教区の「志国(しこく)ダーナの日」に、講師としてお招きいただきました。壮年さん方、約400人を対象にした研修会です。〈男性ばかり400人? どんな雰囲気やろ?〉と思っておりましたが、始まってみてビックリ! みなさんのもつパワフルさは青年そのもので、法華経に詳しい人も、それほど詳しくない人も、それぞれ積極的に催しを楽しんでいるようでした。

みなさんの楽しそうなお顔を見ながら、「法華経の一偈(げ)一句を聞いて有り難いと思う人は、いつか必ず悟りを開くことができる」という教えを思い出しました。法華経を詳しく知ることはもちろん大事ですが、最も大切なのは、その教えを素直に喜ぶ心(随喜(ずいき))なのだと、あらためて勉強させていただきました♪

そんな「志国ダーナの日」に、今回は、夫で太神楽(だいかぐら)曲芸師の豊来家大治朗(ほうらいやだいじろう)も一緒に出演させていただきました。私は普段、夫のことを、家では「大治朗さん」、外では「夫」と呼び、決して「主人」という言葉は使わないようにしています。なぜなら、夫を主人と呼ぶ慣習は、既婚女性の主体性をなくす表現であると昔から違和感を感じてきたからです。

こう言うと、「じゃあ、団姫(まるこ)さんの家では団姫さんが主人なの?」と言う方がおられますが、これも違います。我々夫婦はあくまでも対等な関係なのです。そして、お互いに信仰をもっていますので、私の「主(しゅ)」はお釈迦さまですし、夫の「主」は、その呼び名のとおり主イエス・キリストなのです。

夫の呼び方としては、他に「旦那(だんな)」があります。この「旦那」の語源は、仏教にも関係の深い古代サンスクリット語の「ダーナ(Dana)」であるといわれています。「ダーナ」はもともと「贈る」「与える」など布施の意味をもつ言葉ですが、これが日本語の「旦那」になったといわれます。

そして、もう一つ、「ダーナ」が語源だといわれる日本語が「檀家(だんか)」です。檀家といえば、お寺の檀家さんですが、みなさん、考えてみてください。お寺と檀家さんは、お互いに支え合う関係です。檀家さんは冠婚葬祭からもめごとの仲裁まで、何かあればお寺にお願いをしますし、お寺はお寺で、檀家さんの護持がなければお寺を運営していけません。だから、どちらがエライということではなく、お互いに〝もちつもたれつ〟の関係なのです。そんな意味でも、夫のことを支え合うパートナーだと思っている私は、夫に対して「旦那」という呼び名も好んで使っているのです。

「ダーナ」が「旦那」や「檀家」の語源であるという話は、よく講演会でもさせていただきます。先日、ある会場でこれをクイズにしたところ、とても面白いやりとりがありました。

「それではみなさん、問題です。『檀家』の他にもう一つ、『ダーナ』に由来する日本語は何でしょうか?」

すると、一人の上品な女性が勢いよく「ハイ!」と手を挙げられました。その自信満々のお顔を見て、「きっと仏教に精通してはる方で、正解をご存知なんやろうな」と思いました。

「では、そちらの女性の方、答えは?」

「ハイ! 『ダーナ』からできたもう一つの言葉は……『ダーリン』です♡」

これには思わず、会場の全員がズッコケ&大爆笑。残念ながら不正解でしたが、旦那さまと、さぞかしハナマルな結婚生活を送っておられる方なのだなと思い、心があたたかくなりました♪

「ダーナ」の本来の意味である「贈る」─私たちは仏さま、そして法華経にご縁をいただいている身であるからこそ、家庭や職場、地域のそれぞれの持ち場で、一人でも多くの人に〝笑顔を贈る〟人生を歩んでいきたいものですね☆

〈つづく〉



プロフィル 露の団姫(つゆのまるこ)
1986年生まれ。上方落語協会所属。高校卒業後、噺家になるため露の団四郎に入門。大師匠である二代目露の五郎兵衛宅で内弟子修行を積む。落語の高座、テレビ、イベント出演多数。2011年に比叡山延暦寺で出家し、天台宗の僧侶となる。プロの噺家として、尼さんとして、多方面で活動中。一児の母でもある。著書に『露の団姫の仏教いろは寄席』(佼成出版社)、『法華経が好き!』(春秋社)ほか。
露の団姫 公式ホームページ http://www.tuyunomaruko.com/

『やくしん』2017年9月号(佼成出版社


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