【介助の心得】手を差し伸べられるあなたに

高齢者、難病を抱える人、体の不自由な人……。互いに助け合う心は、誰もが生きやすい社会をつくります。

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【介助の心得】手を差し伸べられるあなたに

「ご近所」から「ご近助」へ  山本佳代子(介助専門士)

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最近は、個人情報やプライバシー保護の関係もあって、近所にどんな人が住んでいるのか分からないことがあります。また、核家族化に伴(ともな)い、一人暮らしの高齢者が多くなり、孤独死される方も増えています。いまは夫婦二人でいても、どちらかが亡くなれば、誰もが一人暮らしになる時代になりました。また、女性も含めて仕事を持つ人が増え、日中のご近所付き合いも薄れ、人間関係のもち方が分からない人も少なくないようです。

そのような社会にあって、みんなが自分らしく、楽しく安心して暮らせる地域社会(コミュニティー)が、求められています。そこに暮らしている住民同士が助け合う住民力が大切なのです。「住民の見守りがこれから力強い助けになる」と行政も動き出しています。

なかには、孤独や貧困に対して、悩みや苦しみの声を上げられない人、誰にも相談できない人がいます。そういった人を見捨てる社会は、みんなが見捨てられてしまう社会になりかねません。

「命は大切だ 命を大切に そんなこと何千何万回言われるより、“あなたが大切だ”誰かがそう言ってくれたら、それだけで生きていける」(公共広告機構)

何年か前のCMですが、私はこの言葉にドキッとします。

自分も他人も喜ぶ“ふるまい”を江戸しぐさといいますが、その中に「お心肥(しんこ)やし」という“しぐさ”があります。自分の心を豊かにし、他人を思いやり、街のために何かをするということです。誰かが困っていたら、まずは「何かお手伝いできることはありますか?」と声を掛ければいいのです。「大丈夫ですか?」と声を掛けてしまうと、大丈夫じゃなくても「大丈夫です」と人は答えたくなるもの。YES、NOで答えられない、選択肢のある声掛けが大切です。

「誰かが自分のことを気にかけてくれている」と思えるだけで嬉しいし、頑張れる。誰一人見捨てない、そんな地域社会を作るのは、お互いに支え合い、助け合う「ご近助」付き合いなのです。


山本佳代子(やまもと・かよこ)
NPO法人日本介助専門員推進協会会長。
2005年、日本介助専門員推進協会設立。企業を中心に、介助士養成のための研究活動を行っている。介助専門士グランドマスター。ユニバーサルケアアドバイザー。トヨタ名古屋自動車大学校特任講師。(社)全国手話通訳問題研究会会員。

『やくしん』2017年4月号 (佼成出版社)


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