尾木ママのだから子育てはおもしろい!

思春期の難しさは、子どもの成長の証。尾木直樹さんによる、悩めるお父さん・お母さんへのアドバイスです。

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多様な〝性〟 尾木直樹

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性はグラデーション

最近、「ジェンダーレス」という言葉をよく耳にします。「性別による境界線がない」という意味ですが、若い子たちの間では、主にファッションの面で注目されているようです。特に、メイクやネイルをして女子の洋服を着こなす「ジェンダーレス男子」は、中性的な雰囲気が魅力といって、女の子たちにとても人気があるみたい。いまや〝男らしさ・女らしさ〟にとらわれない若者の姿は、同年代を中心に浸透しつつあります。

とはいえ、自分の息子がある日突然メイクを始めたら、親としては戸惑う気持ちが大きいのではないでしょうか。また、もしわが子に同性の恋人がいるとわかったとしたら……。近年、セクシャルマイノリティ(以下LGBT)への認識が高まってきたものの、性の多様性について、大人や社会の側は、まだまだ理解し、対応しきれていないように感じます。そのため、自分の性自認を安心して打ち明けて、自分らしく生きることができず、苦しみを抱え込んでいる子どもが大勢いるのです。一方、保護者も、現実を受けとめることができなかったり、周囲の理解が得られなかったりと葛藤しています。

ある調査によると、国内の13人に1人が「心、体、好きになる人の性などが、男女というふうにすんなり分けられない」といいます。これは、日本にいる左利きの人の割合と同じくらいだそう。学校でいうと、クラスに1~2人はLGBTの子どもがいることになります。「自分のまわりにはいないよ」と思うかもしれませんが、それはたぶん本人が〝言えない〟から気づかないだけ。もはや、〝マイノリティ〟とは呼べないほど身近な存在なんだということを、まずは知ってほしいと思います。

互いの個性認めて

そもそも性は、「男・女」の二種類にはっきり分けられるものではありません。グラデーションのように、人それぞれの色合いがある。だから、100人の人間がいたら100通りの性があります。男性性と女性性を半々くらいの割合でもっている人もいれば、男性であっても、男性性は20%で女性性が80%、という人もいるでしょう。僕だって、妻も娘もいるけれど、「ママ」と呼ばれています。それは〝性の個性〟であって、おかしいことではまったくないのです。

昨年の秋、僕は都内のある小学校で5年生を対象に、LGBTに関する模擬授業を行ないました。学校の中では、いろんなことが男と女に分けられているけれども、性の多様性を大事にするにはどうしたらいいかを考えました。もし自分だったらと、想像力を働かせて真剣に考え、意見を交わす子どもたちの姿に、性についてしっかり理解し、互いの違いを認め合うことができれば、それぞれが自分らしく生きられる未来を、きっと作っていけるだろうと嬉しくなりました。

文科省も、昨年4月、LGBTの子どもの対応に配慮を求める通知を、全国の小中高校などに出しました。職員用トイレの利用許可や服装規定の緩和、医療機関との連携などを求めたものですが、誰にも相談できずに悩んでいる子どもたちの人権をどう守るのか、ようやく国をあげて取り組み始めたのです。

性の問題にとどまらず、宗教や国籍など、社会は多様性を増しています。どうすればみんながありのままを認め、自分らしく生きる社会にできるか。親子でもぜひ話し合ってみてほしいと思います。


キーポイント
100人いれば、100通りの性がある。性について知り、互いの違いを認め合うことで、みんなが自分らしくいられることが大切です。


【プロフィル】
尾木直樹(おぎ・なおき)

1947年滋賀県生まれ。法政大学教職課程センター長・教授。教育評論家。臨床教育研究所「虹」所長。中高の教師として、22年間子どもを主役としたユニークで創造的な教育実践を展開。現在も大学で教壇に立つかたわら、「尾木ママ」の愛称で親しまれ、テレビ番組、CMなどで活躍。これまで執筆した教育関連著書(監修含む)は200冊を超える。


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