露の団姫の「毎日が仏教ですねん」

上方落語の高座をはじめ、テレビ・ラジオなど多方面で活躍中の露の団姫(つゆの・まるこ)さん。プロの噺家、天台宗僧侶、そして一児の母という三つの生き方を自在に歩んでいます。「法華経は、わが人生の道しるべ」――日々の暮らしの出来事を教えに照らし合わせることで、仏教が身近なものに感じられるコミカル・エッセイ。

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露の団姫の「毎日が仏教ですねん」

「妙見さん」が結んでくれた開運のご縁 露の団姫(つゆのまるこ)(落語家・僧侶)


日蓮宗寺院で祀(まつ)られることの多い妙見大菩薩(みょうけんだいぼさつ)。何を隠そう、私も「妙見さん」の大ファンなのです。

妙見さんとの出会いは18歳の頃。当時、落語家の修業のため兵庫県西宮市に住んでいた私は、毎日利用する阪急西宮(にしのみや)北口駅に貼られている一枚のポスターを心の支えにし
ていました。それは「能勢(のせ)妙見・里山ぐるっとパス」というお得なチケットの広告でしたが、そこにはたいへん可愛(かわい)らしいウサギとカメのキャラクター「ぴょんちゃん&のんちゃん」が描かれていたのです。

もともと〝ゆるキャラ〟が大好きだった私は、この「ぴょんちゃん&のんちゃん」に一目惚(ひとめぼ)れ。しかもこの2人(2匹?)がポスターの中で楽しそうにハイキングをしていたのは、関西随一といわれる日蓮宗の霊場「能勢の妙見さん」(大阪府能勢町)だったのです。私はこの時から「落語家の修業が明けたら、このぐるっとパスで妙見さんへ行こう!」と願いをもつようになりました。そして3年後、無事、内弟子修業が終わり、いよいよ能勢の妙見さんへと行けることになったのです。

初めてお参りした妙見さんは、本当に素晴らしいお寺でした。ご本尊さまは、星々の王といわれる妙見大菩薩。〝北極星の神さま〟であり、星の動きを支配し、人びとの運気を好転させてくださることから、開運のご利益をいただけるといわれています。

三年越しの夢が叶(かな)って胸がいっぱいになった私。しかし、一つだけ勘違いをしていました。お土産コーナーで〝ぴょんちゃん&のんちゃん〟のグッズを買おうとすると、売店の人いわく、「あれは阪急・能勢電鉄のキャラクターで、うちでは売っていませんよ。それに、グッズは確か非売品やったと思いますよ」。その言葉にガクっとしました。修業中からずっと楽しみにしていた妙見さんへのお参りなのに、欲しかったお土産が買えない……。しかし、これこそ妙見大菩薩さまが私にくださった「開運」のご縁だったのです。

翌日、このキャラクターを制作している「桜井デザイン」という会社へ電話で問い合わせました。すると、私の熱い想いを喜んでくださり、「ぜひ遊びに来てください!事務所にあるものなら、お分けしますよ」と言ってくださったのです。それから桜井デザインさんとの付き合いが始まりました。

ある時、私自身のグッズ制作のため、桜井デザインさんに行くと、「このあと、お客さまとランチするんですが、団姫(まるこ)さんもいかがですか?」と声をかけられました。するとビックリ! そこへ現われたのは天台宗のお坊さんだったのです。天台宗の一隅(いちぐう)を照らす運動総本部が、ここでキャラクターグッズを制作していたのでした。

当時の私は、15歳から抱いていた「落語家になり、お坊さんになって、仏教落語で布教をする」という夢に向け、お坊さんの師匠探しをしながら自作の仏教落語を各地で行なっている最中でした。早速、そのお坊さんに自己紹介をして、仏教落語の台本を見ていただきました。そのご縁から「天台宗キャンペーンガール」となり、さらに、お坊さんとなり、布教させてもらえるチャンスをいただけたのです。法華経が好きで、妙見さんが好きで、ゆるキャラが好き。そのご縁が巡(めぐ)り巡って、自分が希望していた道を歩ませていただけることになるとは……。本当にトリハダの立つようなご縁でした。

それからというもの、芸人仲間から「どこか開運のスポットない?」と聞かれると、迷わず能勢の妙見さんをおススメしています。実際に、妙見さんは昔から芸能上達のご利益があるといわれ、多くの芸能人も祈願に訪れるとのこと。やっぱり妙見さん、「星」の配置を司(つかさど)る仏さまだけに、ここにお参りすれば「スター」になること間違いなし! というわけですね☆

〈つづく〉



プロフィル 露の団姫(つゆのまるこ)
1986年生まれ。上方落語協会所属。高校卒業後、噺家になるため露の団四郎に入門。大師匠である二代目露の五郎兵衛宅で内弟子修行を積む。落語の高座、テレビ、イベント出演多数。2011年に比叡山延暦寺で出家し、天台宗の僧侶となる。プロの噺家として、尼さんとして、多方面で活動中。一児の母でもある。著書に『露の団姫の仏教いろは寄席』(佼成出版社)、『法華経が好き!』(春秋社)ほか。
露の団姫 公式ホームページ http://www.tuyunomaruko.com/

『やくしん』2017年5月号(佼成出版社


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