Buddhism Navi

人は、どのようにしたら、よりよい生き方ができるでしょうか。お釈迦さまの教え(仏教=Buddhism)は、いつでも、どこでも、誰にでも当てはまるものであり、教えを日常生活に生かしていけば、毎日を前向きに生きることができ、私たちをより幸せな人生へと導いてくれます。

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「私たちはどんな世界に生きているの?」 三法印

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■三法印とは

前回は、お釈迦さま(釈尊)が悟られた『縁起観』を学びました。ある原因(因)が、ある条件(縁)に会うと、それにふさわしい結果(果)が生まれ、それは、必ず何らかの影響をおよぼします(報)ということです。

この『縁起』の法則に基づいて、苦しみや悩みにとらわれることなく、現実を直視して積極的に生きるために示されたのが、「諸行無常」「諸法無我」「涅槃寂静」について説かれた『三法印』の教えです。

法印とは、教えの旗印という意味で、「これが仏教の眼目であり、仏教の根本思想の基盤をなすものである」ということです。

みなさんの年代は、社会の仕組み、この世のあり方と自分自身の置かれている立場に対して、疑問や矛盾を感じる年ごろだと思います。

この『三法印』の教えを学ぶことによって、私たちがどんな世界に生きているのかがわかり、人生をより積極的に生きていくことができます。それでは、その内容について詳しく学んでいきましょう。

■諸行無常

「諸行無常」とは、「この世のすべての現象は変化する」という意味です。

ものごとは、次々に変化し、元のままにあるものは一つもありません。この真理がわからないうちは、健康や財産、名誉など、すべてが変わらないと思い込み、失うことを恐れます。ところが、ものごとは必ず変化するから、自分の思いどおりにならなくなると、苦と感じるんだよ。

このすべては変化するという真理を直視すれば、苦しみに遭っても動じることはありません。自分の見方、考え方次第で、毎日を積極的に生き、未来を創造していくことができるんだよ。

たとえば、人間は必ず年をとります(いまのきみたちも必ずお年寄りになるよ)。ノートや鉛筆なども時間が経つと古くなります。人の心も一瞬一瞬変化するよね。だから、いま、楽しくてもちょっとでも嫌なことがあると、すぐに悲しくなったり苦しくなったりするということだよ。

■諸法無我


「諸法無我」とは、「世の中のすべてのものごとは、関連し合っていて、他と関係なしに、ポツンと離れて存在するものはない」という意味です。

日常の衣・食・住について考えてもわかるように、私たちは持ちつ持たれつの関係で、お互いに生かし合って生きています。このことが、しっかりとかみしめられると、すべてのものに感謝する心がわいてきます。

たとえば、私たちは一人で生まれてきたわけではないよね。必ず両親がいる。食べ物も自分で作ったわけじゃない。野菜や魚も、それを栽培したり、獲ったりしてくれた人がいるよね。

この真理がわからず、「自分さえよければいい」という自己中心な気持ちでいると、人と争いを起こしたり、孤立したりして、自ら苦を生んでしまうんだよ。

■涅槃寂静

最後の「涅槃寂静」とは、「迷いをすっかり吹き消した、心身の安らぎの状態」という意味です。

「諸行無常」と「諸法無我」の真理を悟ることができると、人生にどんな変化が生じても、常に希望を見いだしていけます。そして、それぞれの生活の場で、持ち味を精いっぱいに発揮する努力を重ね、多くの人たちに支えられていることに感謝する生活ができるのです。

その反対に、「諸行無常」と「諸法無我」の真理を悟らない限り、すべてのものごとを苦と感じてしまいます。それを「一切皆苦」といい、『三法印』にこれを加えると『四法印』の教えになります。

このように、すべてのものごとは一瞬一瞬変化し、すべてがかかわり合って存在しているのです。これは宇宙の真理であり、いつでも、どこでも、誰にでも当てはまる法則なのです。

次に、『三法印』の教えを具体的な事例に当てはめて考えてみましょう。

■事例研究

高校一年のとき、同じクラスだった彼女と付き合いはじめて一年になります。お互いに卒業後の進路を考える時期になり、ぼくは東京の大学に進学しようと思っていますが、彼女は地元で就職したいと言っています。
ぼくにはやりたいことがあるので、東京に行くのがベストだと思っていますが、彼女と離れたら、二人の関係も終わってしまうような気がします。将来のことをいろいろ考えると、なかなか勉強も手につきません。みなさんなら、こんなときどうしますか?
 (静岡/S・I)

【答え:すこぶ~る仮面】

東京の大学に進学しようと思っているけれど、それではいま付き合っている彼女と離れ離れになってしまう――きみの何とも切ない気持ちが伝わってきます。

ここで、『三法印』の教えに当てはめて考えてみましょう。

まず、仏さまの教えでは、すべてのものごとは必ず変化する(諸行無常)から、決して自分の思いどおりにはならないことが多いし、いまの状態がずっと続くわけでもないよね。

きみの場合も、進路のことや彼女のことを本当に大切に考えているから、どんどん不安になってしまっているんじゃないかな。まず、いちばん大事にすべきことは、勉強するときは集中して勉強するように努めること。

さらには、お付き合いしている彼女にいまの進学に対する気持ちを伝え、お互いの状況にあった付き合い方を二人で決めることが大切だと思うよ。勉強するときは勉強に集中する。デートするときは彼女のことをいちばんに考えて行動する。そうしたメリハリをつけるようにしてみてはどうでしょうか。そのうえで、お互いのいまの状況にあった関係をつくっていく努力をしていきましょう。

もしきみが受験に合格して東京に住んでみて、「遠距離恋愛は成就しない」かどうかなんて、実際になってみないとわからないよ。そのためにも、まずは自分の将来に向かって、いまできる最善の努力をすることが、きっときみ自身の人間的な成長につながると思います。そうした努力をする姿を見て、彼女もきみを見る目が変わるかもしれないよ。

■三法印の活用

どうですか? いままで学んできたように、「諸行無常」と「諸法無我」は宇宙の真理です。みなさんが「自分は宇宙の真理になんか振り回されないぞ」とか「自分には関係ないよ」と思っても、真理は厳然と存在し、誰にでも当てはまるものです。お釈迦さまは、「すべては変化している」「すべてがかかわり合って存在している」という真理を無視したり、知らないで生活したりしているから、たくさんの悩みや苦しみを抱えてしまうと教えてくださっています。ですから、私たちはこの宇宙の真理を活用していくことが大切なのです。

では、どのように活用していけばいいのでしょうか。そのポイントをまとめると、次のようになるよ。

この世に存在するすべてのものは変化していく
           ∥
良いと思う状態(状況)のものも、悪いと思う状態(状況)のものも、必ず変化していく
           ∥
一、どんな状態(状況)に変化しても、それに振り回されず、とらわれない自分自身をつくろう
ニ、努力によって、どのようにも変化させていける。つまり、よりよく変化するよう積極的に努力していこう

そして……、

この世にあるものはすべてかかわり合って存在している
           ∥
いま、ここにいる自分は、この世にあるすべての人、ものによって生かされていることに気づく
           ∥
一、「お陰さま」という感謝の心で一瞬一瞬を過ごす
ニ、自分もまわりの人も生かしていく行ないをしよう
 
みんなも、学校や家庭、友だちとの関係のなかで、自分にとって良いと思うこと、悪いと思うこと、いろいろなことがあると思います。状態や状況、心も体もすべて必ず変化します。自分が多くのものに生かされていることを自覚し、いまの一瞬一瞬を大切に過ごしていく努力をしていきましょう。
これが『三法印』の重要ポイントです。ぜひ、みなさんも意識して、日常生活のなかで活用していきましょう。

<つづく>


『すこぶ~る』Vol.2 2004年(立正佼成会)


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